· 

節制による快楽

 フランスの哲学者アンドレ・スポンヴィル著「ささやかながら徳について」を読んで深く考えさせられています。

 この本では「徳」を構成する18の概念を取り上げ、それが徳にどのような影響を与えているのかを解説しています。

 取り上げられている概念には、「礼儀正しさ」、「思慮深さ」、「節制」、「勇気」、「正義」(この項までしか読んでいないので。。。)ですが、その中でも「節制」という概念を改めて考えました。

 スポンヴィル氏は「節制」を「上手に楽しむこと」と言っています。

 快楽は、欠乏と過剰の間にあり、その状態を意志の力でバランスを保つことによってもたらされ、

 「ちょうどいい」ことの快楽は、人生を上手に楽しむことを可能にし、徳の構成要素となる。

 年をとってきて良きことは、ようやく節制が可能になってきたと感じられることです。

 若い時は、とにかくエネルギーが過剰であったためか、「やりすぎ」による破滅、その結果の欠乏の繰り返しで、しかし、自分の中の過剰を抑えることができず、両極端に触れざるを得ない苦しみを味わい続けていたようなきがします。

 それが40歳半ば過ぎたことから、ふと「楽になった」と感じました。

 ようやく自身のエネルギーをコントロールできるぐらいまで落ち着いてきたのか、物事に対して、勝て感じ多様な渇望感を感じなくなり、「ちょうどいいくらい」に求めることができるようになった気がします。

 それは「節制」が可能になってきたことなのだと、この本を読みながら感じました。

 「節制」によってもたらされる「ちょうどいいくらいの快感」を味わうことができるようになってきて、

 これから人生を「上手に楽し」んでいこうと思います。