インフルエンザウイルスの史上初めての人口製造をした研究者河岡義裕氏の「インフルエンザパンデミック」を読んで、2003年にメキシコで発生した豚インフルエンザの脅威を思い出しました。
インフルエンザはカモやアヒルなどの鳥が保菌主だと思っていたので、「豚?」と不思議に感じたのを覚えています。
当時世界各地で感染者が増え、日本でも海外渡航経験のある高校生が感染したりして、パンデミック恐怖に包まれていたのを思い出しました。
その後SARSの感染流行やエボラ流行とごっちゃに記憶して、新型インフルエンザがどういうものかよくわからないまま、感染流行にならなかったので記憶の片隅にうっちゃっていました。
しかし、この本で新型インフルエンザの実態を知ると、感染源の動物が異なる(鳥や豚と蝙蝠)とは言え、ウイルス感染の機序は今回の新型コロナと同じものであり、20年近く前に、今回のような事態を恐れて、WHOをはじめとする各国の衛生当局が必死の感染防止をした結果、新型コロナのような世界的なパンデミックにならずにすんでいたという経緯があったようです。
その時も、1917年のスペイン風邪のパンデミックのような事態を想定して恐れていたようですが、今回の新型コロナパンデミックは、まさに予想していた事態が現実になってしまったのだと思います。
18年前の新型インフルエンザがパンデミックにならなく、今回の新型コロナがそうなったことの違いは、ただ「偶然」によるものだとつくづく感じました。
新型インフルエンザもパンデミックになる可能性は十分あり、それが新型コロナのようにならなかったのは、たぶん発生地域が人口が多い中国の大都市であったということ。そして当時よりもグローバル化が進んで、人々の国境をまたいでの往来がくらべものにならないほど増大して、感染を封じ込めることが難しかったこと。
そしてなにより、新型コロナの病態の特徴「潜伏期間」が2週間近くあり、その間感染者に症状がないために、感染を増やしてしまうこと、そして、感染者のうち重症化する人とそうでない人の初期の区別が難しいことなどが挙げられると思います。
18年前の新型インフルエンザの記憶をしっかりと持って、私を含む世界中の人々が感染症に対する心構えをしていたら、今回のようなパンデミックは防げたのかも知れないと思いました。
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