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失敗という経験を使う

 ラジオで元オリンピックシンクロナイズドスイミング選手で、現在はメンタルトレーニングコーチをされている、田中・ウルベ・ミヤコ氏の話の中で、失敗に対する心構えについてコーチしていました。

 失敗を恐れるのは、失敗を「予期」するからです。

 そして予期は外ならぬ自分の心が予期するのであって、自分の心の持ち方で、予期の形が変わり、その結果として、失敗の受け止め方も変わってくるというものです。

 予期には二通りあり、「結果予期」と、「効力予期」があります。

 「結果予期」は良いこと、悪いことに関わらず、結果だけを予期することで、そのため、自分自身ではどうしようもない結果の良しあしに精神的に振り回されて自信を育てることが難しくなります。

 それに対して「効力予期」は、結果うんぬんに関わらず、それまでのプロセスに焦点を当てるため、自分でコントロールすることができ、自分の能力に自信を育むことができるようになるということです。

 なるほど、すべてのことにおいて、不安となるのは、自分の力の及ばないことに委ねなければならない不確定な状況を思い浮かべてしまうからだと改めて思いました。

 世の中のほとんどのことは、人知を超えた偶然や運命に左右されるものですが、それは結果だけに焦点を当てるからで、それに至るまでのプロセスにおいては、自分自身が介在する余地は十分与えられています。

 失敗という結果を単なる勝敗の価値観だけで捉えて全か無で評価するのではなく、失敗から何を学べるかという

「失敗の経験を使う」ことで、さらなる前進の糧とすることも可能なのだと教えられました。