ボー・ロット著「脳はものの見方で進化する」を読んでいますが、世界観がひっくり返るような気持ちになりました。
ロット氏が明らかするのは、私たちが見ている世界は現実のものではなく、知覚という情報を通じて脳が「創作」したものであるということを示す実験の数々です。
本でそのやり方が紹介され、実際にやってみると、自分が見ている世界は自分の「思い込み」の産物であることを実感します。
そしてそれは、自分が見ている世界と他者が見ている世界が、各々の知覚の感度の違いから同じ結果を生じないということ。
つまり、私が見ている世界とあなたの見ている世界は異なるということです。
しかしながら、私たちはそのことを意識せず、同じ人間同士でコミュニケーションが可能となっています。
それは「私たちは同じ世界に生きている」という錯覚を無意識のうちに共有するように、進化の過程で私たち人類が獲得した能力だと思います。
だから、何らかの要因によって「共通の世界」というイリュージョンが崩壊したとき、私たちは各々孤立した小宇宙の住民であるという事実を突きつけられます。
それが孤独を感じることなのかなと読みながら感じました。
つまり、孤独であるということは人間の実存であるということです。
自明と思い込んでいたものが、実はそうではなかった。
このような事実を知った時、私たちがそれでもこの世界で安穏に生きていくためには、
「正しい質問」をし続けることが解決手段であるとロット氏はいいます。
世界に問い続けること。虚構を受け入れ、それでも真実を追求し続ける。
それはすべてが自分自身の脳の産物である世界で、それでも幸せに生きていくことに近づく唯一の手段なのだと
教えられました。
それと同時に、自分が思い込んでいる世界は絶対的なものでなく、自分の見方でいかようにも変えられるか可塑性のある柔軟なものだとすると、何だか自由になれた気がしました。
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