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数値の意味

 現在新型コロナウイルス感染の状態は落ち着いてきて、昨日はこれまでで最低の数値になりました。

 ほんの2か月前に猛威を振るったパンデミックからの急速な収束に、信じられない思いと、

 日本以外の世界各国で流行が再燃している状況を鑑みて、全く安心できません。

 第一波による緊急事態宣言後は、今よりも感染者数の数値は高かったのに、とても安心していたことを思い出します。

 再流行が来ると言われて、実際そうなったのですが、初めてのパンデミック経験で、私をはじめ人々はパンデミックの正体がどういうものか分からず、感染症専門家が感染再拡大が必ず来ると警告しても、長かった自粛生活からの解放感の方が強く、来るべき再拡大に対する危機意識はありませんでした。

 けれども、収束したかと思うと次々に生じる再拡大を経験して、当初は戸惑いと不安を感じましたが、最後の第五波の時は、患者数の急増のため入院できず自宅待機の人が溢れて、死亡者数も過去最高になり、緊急事態宣言が出されていたのに、状況にすっかり慣れてしまったからか、最初のような危機意識が亡くなってしまったことに我ながら驚きました。

 戦時中度重なる空襲警報に慣れてしまって人々はあまり恐怖を感じなくなってしまったという話を聞いた時、「死に瀕するような恐怖に対して、慣れるということがあるのだろうか。」と半信半疑でしたが、その気持ちが分かったような気になりました。

 その逆として、現在の数値を見ても、全く安心できません。したがって数値が意味するものは、それを読み取る人の置かれている心理状況を反映しているものだと改めて感じました。

 果たして現在の感染者数の低数値は、感染収束を示しているのか、単なる「中休み」状態なのか?

 それがどうなるかは、私たちの感染に対する行動いかんだと強く感じました。