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数値の魔力

 昨日27日発表の東京都の新型コロナウィルス感染数が1か月ぶりに30人台になったとラジオのニュースで聴いてうれしくなりました。

 ようやく終息のめどがついてきたように思ったからです。

 コロナウィルス感染に関して、身近なところで感染者がいない私は、この感染者数死亡者数という数という抽象的なもので、コロナウィルス感染を感じています。実際に生活上の制限や仕事上の変化はありますが、これも間接的な影響で、生々しい感染症の実態のビジュアル的なものは(テレビがないこともありますが)触れていず、感染者数という数値が、私にとってコロナウィルスに関する認識を形成するかなりの要素になっています。

 まるで、ダイエット時の体重計の数値に一喜一憂するような、試験合格のための模擬試験の点数を憂慮するのと同じような心境になっていると。

 テクノロジーの発達により、寸時に状況(今回は感染者数)を数値化して、私たちはそれをあたかも実態をそのまま表しているかのように、そして数値という抽象概念でリアルな現象を頭の中で変換して認識するのに慣れてしまっていることを、福島原発の際の放射能値の上下に一喜一憂した経験からも感じます。

 そして数値の恐ろしいことは、まるでそれがすべてのように感じて、そしてその数値が目や耳に入らなくなってしまうと、その現象が消えてしまったと勘違いしてしまうところです。

 東京都がいち早く感染者の実態をグラフ化して提示してくれたことは、感染状況を把握するのにとても役立ちましたが、今ではその数値に完全にアディクトしてしまっています。

 依存状態から抜け出すのには、依存対象から距離を置くことが第一。そこで一日に何度もラジオのニュースで聴いていた感染者数を、一回聞いたらそれ以降はラジオを切り、後は、感染症にたいして、「ステイホーム」、外出時はマスク着用、家に帰ったらどこにも触らず手洗い直行を励行することにひたすら務め、それ以外はコロナのことを考えないようにしようと思いました。

 実際の自分はぴんぴんしていて全く健康に問題がなく、仕事がまったくなくなって収入の不安どうこうは考えてもしかたがないことなので今は考えないようにして、この与えられた十分すぎる時間を、コロナとは別の次元で充実したものにしたいと思います。

 数値の魔力に負けないように。