永島計著「40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか」を読んで、最近では天気予報で熱中症予防の警告が頻発しているのですが、実は体温についてあまりわかっていないのだということを知りました。
なぜならば、血圧値の異常などはその異常値が病と結びついて病気の治療の対象となりますが、体温は割合厳密に正常値に維持されていて、その極端な逸脱は直接死に至るので、治療の対象となりにくいため医学的研究対象とはなりにくいという実情があるようです。
そして意外にも心拍数や脈拍数のように自ら明確に計量できるものと異なり、体温は体温計という「ハイテク」な機器の誕生まで正確な値を測定することはできなかった経緯もあるようです。
体温には2種類あり、内臓や脳などの中心部の体温=コア体温と、からだの表面の体温=皮膚温度の二種類があり、一定(38℃前後)に維持されていて、恒常性の基盤となっているのはコア体温の方で、皮膚体温は周囲の環境の影響を受けてかなり上下するようです。
体は常に食物の摂取などによってエネルギーが発生し、コア体温が産出され、それは普通外界の気温よりも高いため、体から常に熱が放出されています。この熱の産出と放出のバランスが釣り合っているとき、私たちは暑さ寒さを感じることなく快適に過ごすことができます。この温度は衣服を着ていなう状態で28℃~30℃で、薄い衣服をきた状態ならば25℃前後ということです。
そして私たちが暑い寒いと感じるのは、皮膚の周りの数センチの空気の温度だということです。
体温はコアを流れる水分=血液が含有する熱量によって維持され、その周囲の筋肉→皮下脂肪→皮膚の層が断熱剤として体温を逃さないようにしているようです。
逆に体温を下げるためには、周囲の層に張り巡らされた細い血管を介して、汗腺から汗を放出することで、その気化熱で体温を下げます。
皮膚の表面から一日1リットルもの汗が気化され蒸発しているようで、これは不感蒸泄と呼ばれています。汗が体温を下げるためには、水分が蒸発してその気化熱が皮膚周囲の温度を下げる必要があるので、湿度が高いと蒸発しにくく、湿度に多いに影響されるようです。
熱中症になる人が多いのは、暑さになれていない梅雨明けで急激に気温が高くなった時で、まだ湿度が高いことも影響しています。
体温調節機能は、乳幼児はまだ十分に発達していなく、高齢者は衰えているため、気温の変化に対応するのが難しいため、注意が必要です。
また永井氏は、昨今の熱中症の原因には温暖化以外に、都市部のヒートアイランド現象、空調の発達による暑さ寒さへの耐性の減少など様々な複合的な要因があり、人為的に改善が可能であるそれらを早急に改善することが肝要だと提唱しています。
体温について知らないことがたくさんあることに気づきました。
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