レナード・ムロディナウ著「たまたま」を読んで、現在のコロナウイルス感染症のパンデミックと偶然について考えました。
ムロディナウ氏は数理的な証明で、偶然は私たちが思い込んでいるほど「めったに起こらない」ものではなく、
意外に「おこりやすい」ものであること、そして進化論的要因により、人間の脳は状況をコントロールすることを優位にするように進化してきたため、単なる偶然に過ぎないものにも必然とみなしやすいということです。
偶然を把握しようとする手法には、確率と統計があります。
それらは、数理的な手法によって、偶然というものの「正体」を私たちに示してくれる技術ですが、
いかんせん、私たちの脳はそれを理解するようにはできていないため、
それらを数理的に表現すること、数値から意味を読み取ることが苦手なようです。
だから、古今東西様々な、占い、予言、陰謀論などが隆盛するのだと思います。
現在のコロナウイルス感染の実態も、テクノロジーの向上で、ビックデータ処理が可能になり、大量の客観的データをもとにして、把握が可能になってきました。
けれども、それをどのように意味付けするのかは、私たち一人ひとりの志向性や価値観によります。
現在の東京都のコロナウイスる感染状況は数字に示されていますが、
それが1か月後の東京オリンピック開催の是非に対しては、オリンピックに対するそれぞれの思惑によって異なっています。
さらにウイルス感染という現象は、どんなに感染に気を付けていても、「たまたま」の要因に大きく左右されることから、人間がコントロールすることは困難な現象です。
「たまたま」の意味について考えてしまいました。
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