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天気のことわざに込めた先人の知恵

 NHKラジオの気象予報士弓木春奈著「気象災害から身を守るたいせつなことわざ」中で、「天災は抜き打ちテストのようなもの。いつテストを受けてもきちんと答えられるようにしていなければならない。」という言葉に出会いました。

 弓木さんや同じくNHKラジオの気象予報士、伊藤みゆきさんや福田寛之さんのファンです。それは彼らがラジオという災害時に最も頼りにされるメディア媒体を意識して、言葉だけで適格に気象の変化を聴者に伝えようとする工夫と努力が常に感じられるからです。そして声を通して時折垣間見られる彼らのパーソナリティも、非常に交感がもてるからです。

 でも昨今の異常気象で、彼らの仕事も大忙しで大変だろうなあと感じています。

 弓木さんが毎日天気予報の際に天気に関することわざを披露しているのを楽しみに聞いていました。

 今のようにテクノロジーが発達していなくて、農耕のために重要な情報である天気を予報するために、先人たちは五感を駆使して天気の変化を感じ取ろうとし、わかりやすく覚えやすい形で後の人に伝えようとした、天気のことわざには、彼らの叡智が詰まっているように感じられます。

 日本という狭い島国で農業主体の生活を送るため、四季の移り変わり、地形の変化の起伏に富み、また火山や地震や洪水などの自然災害が多いことから、日本人は気象の変化に対して、鋭い感覚を研ぎ澄ませていたのだと、弓木さんが紹介することわざから感じます。

 冒頭に紹介した言葉に付け加えて、「何か起こってからでは遅いです。備えておけばよかったと後悔しないようにしてください。備えておいて損はありません。」とありました。

 つい面倒だとか、費用がかかるとか、災害への備えを後回しにしがちですが、命と天秤にかければ、時間的、金銭的に釣り合うものなどなく、どんな備えも損には決してならないと、改めて気づかされました。

 ことわざの中に、私の故郷、山口県市の漁師たちに伝わることわざ「北ゴチの風が吹いたら沖にでると危ない」が取り上げられていました。ゴチとはコチ=東風のなまったもので、北を日本海に面している萩市の「北ゴチ」は北東の風。秋~冬、梅雨のころ吹く風で、沖合では暴風になるそうです。冬の「北ゴチ」の日本海の灰色の荒波の模様を思い起こしました。漁師は自然相手の狩猟業であるため、気象変化に対して感覚を研ぎ澄ませているのだと感じました。