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ウィルスとのつきあいかた

 新型コロナウィルスが流行していますが、私は風邪で寝込んだことはこの30年以上ありません。

 では風邪をひかないのかというと、そうでもなく、風邪のごくごく初期症状で風邪を「通過させ」るという対処法です。

 それは野口晴哉の「風邪の効用」を読んだ影響です。野口整体の創設者である氏は、風邪の症状は風邪のウィルスに対する正当な身体の反応であって、その様子を注意深く観察し、身体のウィルスへの反応の一連の段階で、うまくそれを「通過させる」ように促すような操作をすることで、スムーズにウィルスが身体から排出させるというものです。

 さらに風邪をそのように通過させる際に、その身体が元々持っていた不調の原因も、風邪に対する反応の励起状態のエネルギーを利用してついでに治してしまうことによって、風邪をひく前の身体よりも健康になるという、まさに風邪を特効薬=効用として利用しようとするものです。

 だから、野口整体においては、風邪はむしろ積極的に引くことを奨励し、風邪をひいたことを絶好の機会として喜んで迎えるという姿勢を取ります。

 それは、風邪をひいて生体反応が生じさせることによって、外界の変化に対してフレキシブルな反応ができる敏感な身体の状態を維持できているという証拠だからです。

 そのようなわけで、「風邪の効用」を読んで以来、風邪に対しては、むしろ身体のアンテナを鋭く光らせて、「なんだかちょっと変。」という状態に即座に気づき、その対応を試みているために、風邪を悪化させなくて済んでいるようです。

 私にとって風邪の兆候は、まずもって気分に現れます。いつも気分は一定の状態に保つことを心掛けているのですが、風邪にかかると、なんとなく、これといった理由も思いつかないのに、気分がさえない状態に陥ります。

 これは風邪をひいたのだなと長年の直感で気づき、身体の疲れや不調を注意深く観察していると、ちょっとだるくなったり、熱っぽかったり、胃腸の調子が悪くなったり、風邪の初期症状がでてきます。

 そんなときは、いつもよりも身体を休め、栄養のあるものを食べ、そして野口氏は風呂で体温を高めていましたが、私はジョギングをいつもより激しくすることで体温を上げ、汗をかくことで風邪ウィルスを退治しています。

 新型コロナウィルスも、このような風邪対策で乗り切ろうと思います。