福岡伸一著「迷走生活」を読んでいます。
2019~2021に雑誌文藝春秋に連載されたエッセー集です。
その中で分子生物学者である福岡氏としてのユニークなウイルス論が述べられていました。
コロナウイルスを含むウイルスが生物に侵入する際に、受け入れる側の細胞が積極的にウイルスを「招き入れている」ということです。
コロナウイルスの場合、ウイルスの表面にあるトゲトゲの部分=スパイクタンパク質が、受け入れる側の細胞膜にくっつくと、細胞膜に受け入れのスイッチが入りウイルスを細胞の中に包みこむようにして誘導し、細胞の中に入ったウイルスは、細胞質を利用して自身の増殖を初めだし、やがて細胞を突き破って外にでて、他の細胞に侵入していく。
受け入れ側の細胞がすすんでウイルスを誘導しているのはなぜか?
福岡氏は、受け入れ側の細胞のDNAの一部がウイルス由来であるということから、
ウイルスはもともとその細胞の一部であったものが、細胞から飛び出し、やがて再びその細胞に戻ったのではないかと推測します。
そしてそれはDNAの変化につながり、やがてそれは進化の引き金となる。
多くのウイルスは受け入れる側にとって無害であり、一部だけが感染症の原因となるそうで、
地球上に生命が誕生したときから、生物はウイルスとこのように共存することで、お互いに生き延びてきたのだということです。
そして多くの人に害を与えるウイルスは、このように長い年月をかけて人類とウイルスが棲み分け共存してきたバランスのとれた関係を、人類の側が侵してきた結果ではないかと。
だからウイルスを排除することなど不可能で、私たち人類ができることは、ウイルスとうまく共存することだと。
コロナウイルスのパンデミックは、人類に対する警鐘と受け止めました。
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