マーシ・ショア著「ウクライナの夜」を読んでいます。
2014年にウクライナで起きた「マイダン革命」について、関係者の聞きがたりを集めたものです。
これまでウクライナの政情についてニュースで何度も聞いていたのに、その実態を全く理解していなかったことを痛感しました。
ロシア軍の侵攻はすでに2014年に実際に行われていたのです。
だから、2月末にロシア軍が侵攻した際に、ウクライナ国民が反射的に国防のために「闘う」ことを選択したのだと。
彼らは、このような日が来るのを予感していたし、心の準備もできていて、日本を含む他の西側諸国が「青天霹靂」と感じた今回のロシア侵攻は、ウクライナ国民にとっての「南海トラフ地震」だったのだと。
戦争は人間が起こすものであるけれども、長い歴史を通じて大国からの支配と蹂躙をうけてきたウクライナ国民にとっては、自然災害のように感じられてきたのではないかと思いました。
ロシアのウクライナ政権支配に抵抗して市民レベルの叛乱ではじまったマイダン革命は、それを抑えようとする親ロシアの政権の暴力的鎮圧に対して、キーウのマイダン広場をバリケードで覆い、ウクライナ全土から支援者が集まり、さながら共和国的秩序を維持しながら抵抗つづけ、大統領がロシアに亡命するという勝利を勝ち取った市民革命です。
世界史の中ではじめて市民による革命が成功した例とも言えると思います。
多数の死傷者を出しながら、果敢に抵抗をつづけた市民たちの語りは、自由と民主主義はそれを担う者の手で勝ち取るものだということ、そしてそれは人間の実存の本質に迫るもので、強い高揚感と達成感を伴なうものだということを教えられました。
これを経験したウクライナ国民が、後に起こったクリミア半島占領や、今回の侵攻に対して果敢に抵抗するのは、勝ち取った自由を守り続けるための強い思いからだということを改めて知りました。
ウクライナは決して降参しないし、徹底して抵抗しつづけることを確信しました。
自分の国の自由を自らの力で守り抜くということ。
この厳しい現実にさらされることによって、ウクライナ国民は自由とは形而上学的なものではなく、全くの生きる生活の中のものであるということを実感しているのではないかと思います。
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