童話作家の上橋菜穂子氏が新型コロナウイルス感染パンデミック現象について、作家の立場から考察していました。
危機というものは、内在していた問題を顕(あら)わにすることで、改善の道を見せる力も持っています。人類全体が同じ問題に向き合っている今回のパンデミックは、人類が、これまでとはまったく違う、根本的なレベルでの変化を起こす契機になるかもしれません。百年前の流行性感冒「スペイン風邪」の時代には持っていなかった視野とネットワークを私たちは持っているのですから
私も今回の新型コロナが人類に引き起こしたパンデミック現象について「こんな手があったのか」と、変な話、ウイルスに敬服さえしました。
グローバル社会が進み、交通手段の発達で人々や物資の移動が加速度的に早まっていた状況が、ウイルスによって一変し、停滞してしまうなんて。
多分戦争でもこれほど人間の移動を止めることはできないと思います。
これからの世の中、情報の質が変化していくのではないかと思います。
20世紀に人類に最も影響を与えた発明は「電話」だと言われていますが、それまで情報の伝達は、手紙という紙の媒体はありましたが、瞬時に肉体の移動を伴わないで、情報を伝える手段としての電話が人類に与えた影響は計り知れないものがあると思います。
そしてIT発達によるインターネットの普及で、情報伝達の速さは空間という制約を乗り越えました。
そしてそれはフェイス ツウ フェイスが情報に占める割合を減少させました。
その割合が今回のパンデミックによってさらに減少し、私たちは身近な人、見知らぬ人との直接の出会いの機会が失われてしまったのです。
もし現在これほどITが発達していなかったら、人々の移動が困難であった時代に逆戻りさせられたはずです。
コロナパンデミックにも関わらず、とりあえず、人々の営みが成り立っているのは、ITによって五感のうち視覚、聴覚の二つに依存するコミュニケーションが維持されているからです。
しかしダイレクトなコミュニケーションにおいてかなりの割合を占める、臭覚、触覚、そしてそれらを含めた「気配」などを欠如させたコミュニケーションだけになることの長期的な影響はどのようなものになるのか?
本橋氏の言うように、この現象が人々に与える影響は未知だと思いました。
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