感染症専門家加藤茂孝氏の「人類と感染症の歴史」を読みました。
人類がかかる感染症の70%が動物から感染するそうで、野生動物を家畜化し、原野を切り開き、人類と動物の生存圏が交差するようになったことで、本来は動物の体内⇔動物体内とウイルスや細菌の循環がおさまっていたところ、そのルートに動物⇔人間⇔動物が入り込んでしまったのが、感染症の原因だそうです。
そして人類の歴史において感染症は、自然災害、戦争と並んで三大災難であり、歴史を変える大きな契機となってきました。
人類にとって感染症はなすすべもなく、それゆえ神の罰として、祟りとして、畏れられてきました。
しかしジェンナーがワクチンを開発したことで、初めて人類は感染症に立ち向かう手段を得ることができました。
そして主要寄生者が人間だけである感染症ー天然痘や麻疹ーは、ワクチン接種の普及によって撲滅が可能になり、人類の宿痾とも呼ばれてきた天然痘は撲滅に成功しました。麻疹はまだ常在国が5か国ほど存在しているようです。
また抗生物質や抗ウイルス薬の開発で、直接細菌やウイルスを叩く手段も開発されました。
それによって、劇的に感染死者数が減少し、人類は感染症に勝利したとも考えられてきました。
しかし耐性菌の存在で、抗生剤、抗ウイルス剤の限界も見えてきました。
となると、やはり、ワクチン接種によって、人間が元々持っていた免疫の力を借りて、細菌やウイルスとうまく共存していく方法がベストであるように思います。
どんなことでも、相手を撲滅する方法は、結局は生き残った相手がさらに強力になって復讐してくるというよくある戦闘物のパターンに陥ると思われます。
現在新型コロナウイルスのワクチン開発が世界中で繰り広げられています。人類の叡智を結集してすみやかに進めれられ、現在のペストである新型コロナとの新たな共存のフェーズに移行したいと切に願います。
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