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ワクチン

 新型コロナのワクチン開発が世界中で急ピッチで進められています。

 連日の感染者数の増加の数値をニュースで聞くたびに

「早くワクチンを開発してほしい」と、ワクチンこそが人類の救世主のような気持ちになります。

 果たしてワクチンは救世主なのでしょうか?

 私は、まさにワクチンこそは人類の叡智によって生み出された現実の救世主だと思っています。

 感染症はヒトの生存にとって一番の脅威です。

 ワクチンが開発されるまで、感染症に対してヒトは、自分自身の持つ遺伝的な免疫力しか闘う手段がありませんでした。

 人類の進化の過程で、感染症に打ち勝ってきた者だけが子孫を増やしてきたので、必然私たちの遺伝子には、人類の感染症との歴史が刻み込まれ、現在私たちが存在しているということは、少なくとも、人類の今までの感染症に対して少なからぬ免疫力を生まれながらに持っている可能性が高いということを意味します。

 ワクチンは、そのような私たちの免疫力に対して、感染力の強い人類を脅かしてきた病原体に対してさらに免疫力を強化する働きがあり、それによって私たちは感染症の脅威に打ち勝つことが可能になりました。

 幼少期に数々のワクチン接種が義務づる公衆衛生が普及したおかげで、

私たちは人類を脅かしてきた数々の感染症によるパンデミック日常的におびえながら暮らす必要がなくなりました。

 子供の頃定期的にいろんな「痛ーい注射」を打たされた恩恵のありがたみを実感することなく、私たちは生きてきています。

 しかし、ワクチン接種による副作用の可能性は、かなり確率は低いのですがどうしても生じてしまいます。

 マスコミや、ある種のイデオロギー(製薬会社の陰謀とか)を信奉する人々が、いたずらに恐怖を煽り、子供の両親がワクチンの接種をためらう傾向が20世紀後半~21世紀にかけて世界的な傾向で広まってしまいました。

 その根拠となるものには科学的な信ぴょう性はないことが証明されましたが、ワクチンは接種するものだけでなく、ワクチンをすることができない乳幼児や病弱な人や高齢者に対して集団免疫することによって守る役割も果たしているのですが、ワクチン接種率が下がることによって、それらの人々の命を危険にさらされる事態が生じてきています。

 近年の高齢のインフルエンザによる死亡率の上昇も、1960~70年代半ばまで、ワクチン接種が義務付けられていた恩恵が接種率の低下によりなくなった結果生じている現象だということです。

 新型コロナのワクチンはこれだけ人々の恐怖が煽られているので、接種率は高くなると思われますが、もしワクチンによる副作用が問題となっても、その有効率が高ければ、ぜひすべての人が接種して人類全体で集団免疫が生じるようになってほしいです。