ラジオで文化人類学者が和食について、とても興味深いお話をしていました。
その方は日本がユネスコに無形文化財として「和食」を登録する際に、和食の定義をどのようにするかを考案されたようです。その定義とは
和食は、地域の新鮮で多彩な食材をもとに、感謝の精神と四季折々の自然の恵みに支えられ、地域と家族が食によってつながっている。
特徴的なのは、感謝の気持ちと、地域と家族が食によって絆を結んでいるということです。
食における感謝とは、日本人のアニミズムの精神、自然のいたるところに八百万の神々が存在するという考えで、食は神がヒトにもたらしてくれた恩恵であり、家族や地域の人々と、四季折々の感謝の行事を通して、感謝の気持ちを食の饗宴という形で表す伝統が、和食文化として受け継がれているというものです。
氏がたとえとして挙げていたのが、桜の花見の宴でした。
桜の花は「さ=農耕の神」+「くら=座、神のいます場所」、つまり春になると神が里に下りてくる場所を、その白い満開の花が象徴していると昔の人々は考え、その神のおはします場=桜の下で、地域の皆で今年の豊穣を祈って、神に対する祝宴の意味で、ご馳走やお酒を捧げ、神とヒトが共食するということが花見の宴会の源となっているようです。
ただし、謹んで静かに催されるのが本来の姿で、近年のどんちゃん騒ぎは、花見の精神からは乖離しているようですが。
このように和食の精神には、自然の神に対する感謝の気持ちが込められているのだとあたらめて感じました。
特定の宗教の信者という限定した集団ではなく、そこの地に住む人々が享受している自然の恵みを皆で感謝する。
和食は地域の絆を結ぶ大切な役割も果たしているのだと知りました。
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