発生生物学者の若林正己著「なぜカエルからヒトが生まれないのか」の中で、「雑種強勢」という言葉があり、常日頃から感じていた疑問の応えを得ました。
「雑種強勢」とは、長い間同系交配を続けてきた種が異系交配をすると、次世代には種の強い形(形が大きい、免疫力が強い)などの表現型が出る確率が高くなるという生物学の概念で、つまりハイブリット種のことですね。
戦後50年、日本人の体格が良くなってきたのは、栄養が豊かになり(身長、体重が増えた)、欧米の生活様式になり(手足が長くなった)、感染症も減り、テクノロジーの発達などで生活が便利になった(農作業などの労働で背中が曲がることもない)ことなどが要因として挙げられます。
しかし、若林氏は生物学者として、江戸時代まで藩(同一地域内の同系交配)を超えた婚姻はほとんど行われてなく、明治維新後日本が統一された後に、人々の交流が盛んになり、特に戦後はそれが加速化し、日本全体で出身地の異なる結婚など当たり前となり異系交配ー「雑種強勢」が急速に進んだからではないかと考えます。
それは私が山口に帰省するたびに感じることでもあります。なんとなく私を含め山口の人たちの顔つきや体形がよく似ているのです。身長が低く、面長で目が細い弥生系の顔つき、おまけに私の最大のコンプレックスでもあるのですが、足が異常に短く太い(笑)。
これは私だけの感想ではなく、東京での山口出身(全員親戚でもない)の人が数人集まった様子を、「山口の人はみな小さい!(50代の女性ばかりで全員が身長150センチ以下)」との感想を他県出身の方の談を聞いて、やっぱりね。と確信したのでした。
ちなみに典型的な山口の男性像は、ユニクロの柳井氏(山口宇部出身)だと私は思うのですが。
それに加えて、今時、特に30代以降の若者の小顔と手足の長さは、「雑種強勢」がさらに進んだためか(強くなるのに当てはまるのか?)、ここ20年ぐらいで遺伝子が変化するわけでもないし、どうしてだろうと。家庭教師時代教え子が皆そのようであり、その両親の多くは私たちと同じ顔が大きく手足も短いのに比べて疑問に思っていました。
小顔の原因は若い彼らの食生活に原因があることがわかりました。彼らは全くといっていいほど「噛まない」。
そして彼らは柔らかい食べ物を好み、堅いものを噛むこと(歯ごたえという快感を表す言葉があるのですが)を極端に嫌悪するようになっているからだと、現代の家庭の食卓の写真が掲載された岩村暢子氏の著作から知りました。
手足が長いのは、雑種強勢が加速化した結果なのではないでしょうか?
このような変化は遺伝子の進化によるものではなく(遺伝子の変化は1万年単位)、エピジェネティック的な変化だと思います。
これからますます日本人は日本人らしくなくなっていくのかなあと思いました。
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